働けば自由になる

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青年海外協力隊に、薬剤師として参加し任期を終えて帰国する際、帰路変更といって一部の国を除いて旅行することを認められていた。その際に、オイラはかねてより見学したかったアウシュビッツ強制収容所を実際にこの目で見たいと思い、ポーランドにドイツ経由で向かった。道中大変な事があったが、ここでは割愛する。

ポーランドのクラクフという町からはっきり記憶していないが、タクシーで行ったとおもう。おぞましい歴史ととはほど遠い中世の面影が色濃く残る町並みは実に見事で、大きな広場にはお土産屋さんやテイクアウトの店、果物いっぱいのケーキなど自然豊かな美しい町だった。車窓からは美しい畑や絵画に出てくるようなのどかな風景が続く。とても歴史上国が2回も地図上からなくなった戦乱の歴史があるとは到底思えない。ポーランドの人たちはそれこそ命をかけて祖国と自由を守った。

アウシュビッツに着くと、まず正門の看板が眼に入る。働けば自由になる(Arbeit macht Frei)、この門をくぐって、一体何人のユダヤ人が虐殺されたのだろう。人類至上、まれにみる組織的に行われた大量虐殺である。ドイツでは、この歴史の負の遺産を忘れないようにと、テレビでは時々ゴールデンタイムで放送されているらしい。人間はどこまで残酷になれるのか?ユダヤ人を殺害したガス室の建物の隣にあるのが、ゲシュタポの病院と聞いて驚いた。自分たちは、まだその家族が病気になったとき病院を受診し、隣では毒ガスでユダヤ人を殺害している。モーツアルトを聞きながら、酒を飲みしかもユダヤ人を殺害、どう考えても狂気の沙汰としか思えない。敷地内に入ると、すぐわきに鉄製の絞首台、隣の説明書きには写真があり三人の囚人がつるされている。そのままだ。さらに奥に進むと、たくさんの建物、その中の一つに入ってみた。写真で見たのと同じ粗末なベッドがあり、その隣には、トイレがあった。これも写真とおなじ。別の棟には、たくさんの髪の毛が部屋の片側に大量に積まれていた。金髪の小さな三つ編みの髪の毛が、涙を誘った。その隣には、たくさんの眼鏡、その隣にはたくさんのカバン、きちんと分別していたのか。恐ろしい。

ミルグラム実験をご存じだろうか。簡単に言うと、ある条件下では、命令は絶対で凡人が殺人鬼になるということだ。賛否あるが、これは人間の心の隙間に悪が容易に入ってくることを物語っている。アイヒマンでさえただ命令に従っただけと言っている。絶対的権威者の命令は絶対で、ただ命令に従っただけなので、自分に責任はないと解釈しているのだろう。

いま、ウクライナ侵攻でロシア軍が残虐非道なるふるまいをしているという。戦争には上記のような心理が働き、普通の兵隊が殺人鬼になっているに違いない。ウクライナ侵攻は今後ますます拡大しそうだ。自分たちの被害を最小限にするため、建物を破壊し、市民に紛れているウクライナ兵の区別がわからないから、市民を皆殺しにし、自分たちの犠牲が出ないように、巡航ミサイルや長距離砲をうち、前進するだろう。

第2時世界大戦の教訓は忘れたのか?あの時と同じだ。ロシア系の住民の保護という名目で、侵攻している。ナチスドイツも、ドイツ系住民の保護のためにチェコに侵攻した。その後どうなったか?大戦に突き進んだではないか?

自由という大義を勝ち取るために人類は多大なる犠牲を払ってきた。逆を返せば、自由を勝ち取るためには犠牲が伴う。祖国防衛のために命を捧げて、侵略者と戦うのは崇高な理念だと思う。先の大戦で大きく違うことは、情報化社会と核兵器だ。スマホで世界中の情報が手に入る時代だ。

アインシュタインは言っている。ある人が、「博士、第三次世界大戦はありますか?」と聞くと、アインシュタインは、「第三次世界大戦はわからないけど、第4次世界大戦はあるよ。その時の戦いは、こん棒と石だよ」とね。博士得意のブラックジョークだと思うけど、これは何を意味するのだろうか

 

2022年4月24日