2種免許は、お客を有償にてもてなす?訳であるから、接客業である。さらに事件、事故に巻き込まれないよう何よりも安全運転が肝要である。これは、我々薬剤師の仕事道にも通じるものがある。患者の薬物治療に対する有効性安全性、副作用に対する注意喚起、お客の交通事故に対する注意、ともに生命に対する安全を担保する意味では、同じである。
タクシーを選ぶ際に、選ぶ基準はなんだろうか?たまたまいたタクシーに乗り、目的地に安全に運んでくれればそれでいいのではないだろうか?薬局もそう、薬をもらえばいいだけではないか?どこでもらっても薬は同じ。でも、服用した後の問題がある。ここが大きく違うところだ。タクシーは、お客が下りた後は、基本もう関係ない。
話が大きくそれたが、今回は合格顛末記の後半を報告しようと思う。
路上教習に出る前の第一段階では、10時間の場内運転が義務づけられている。前回も書いたが、課題走行(S字走行、クランク、縦列駐車、鋭角クランク)をこなしつつ、メリハリのある運転、しかも徹底的な安全確認を検査される。いつも緊張で大汗をかいていた。2種の場合は、1種と違い、とにかく客を意識した運転を求められる。急ブレーキや急発進、厳密にいえば、体に0.6Gがかかると減点対象になる。どの程度かわからないが、何回かやるうち教官からこのぐらいだと減点になるよと言われて、感覚的に覚えてきたつもりである。でも実際、走りながら安全確認をして、スピードに気を付けながら、標識をみて、ウインカーを出して、客の求めに応じるのは、容易でない。
場内を走る分には、他の教習車と標識だけを注意しておけば、問題ないけれども、路上はそうはいかない。一番困ったのが、歩行者と自転車。とくに商店街を走る際には、細心の注意が必要である。歩行者に対する安全確認を怠ると、大減点だからである。とても合格にはおぼつかない。
いつも朝一番に教習を受けていた。おいらは少し早めに行って、教科書を読んだり、職員と思しき年配の人といつも外で世間話をしていた。名前は聞かなかったが、いつも早くにきているおじさんで仮にMさんとしておこう。Mさんはとても気さくなおじさんで、温厚な中にも厳しさがあるのを感じていた。よくコースの教習車を見て、あれはだめだねとかよくできているねとか言っていたよ。
路上教習が始まってからは、緊張の連続だった。なんせ違反をしている車が多いこと多いこと((笑))特に市内では、駐停車が守られていない。ちょっとぐらいなら止まってもいいだろうとか、軽微な違反を取り締まっていたら、道路が素晴らしくきれいになるよ。(交通違反の罰金は、国家予算に組み込まれていて、そのお金で道路整備なんかに使われているらしい)
それと速度超過、道路標識もめまぐるしく変わり、交通の流れに任せて運転していると、たちまち違反になってしまう。運転している側からしてみれば、流れに任せて運転している分には捕まらないだろうと思っている。これはこっちの理屈。捕まえる側からしたら、その交通を引っ張るクルマを捕まえるとの事、なるほどと思ったよ、だから先頭車両になった時、あるいは前方の車と距離が短い時は、特に注意しなくてはならない。
路上検定が始まる日は、かなり雲行きが怪しく、始まる頃には大雨になってきた。オイラは一人で検定を受けるので、立会人が乗り込むことになると試験官。通常は、路上検定は試験官と検定者、それと次に受ける検定者の合計3人が乗り込むことになっているらしい。検定の不正をなくすためとのこと。オイラの場合は誰かなと思っていた。少なくとも2種の検定はオイラしかいない。そしたら、いつもの初老のMさんが奥から出てきて、ひどい雨だねと言いながら、こちらにやってきた。
そしたら、試験官が「所長、今日の検定中止にしましょうか?」というではないか。オイラが毎日、世間話していたのは、県警OBの所長さんだった。これには驚いたよ。所長が、「いや、大丈夫だろう。彼にも予定があるだろうから」と言ってくれたので、大雨の中、試験が開始された。Mさん=所長(笑)
オイラにとってこの大雨は、好都合だった。なぜかというと、交通量が少ないし、最注意事項の自転車、歩行者がいない。路上教習で一番注意しなくてはならないのは、自転車と歩行者、商店街を走るコースがあるので、いつも憂鬱な気分になったものだよ。でも、この日は違った。実にスムーズ、水はねを気をつけ、速度をまもって、車間に気をつけ、対向車に注意しながら、転回。課題を淡々とこなし、無事終了。後ろで所長も、ご苦労様とねぎらいの言葉を頂いた。教習所に帰ってから、ご無礼をお詫びし、また世間話。薬剤師さんなのにタクシーやるんだねといって、驚かれていたよ。無事合格。その後、幕張の運転免許試験場にて、2種免許の学科試験を受験、6人の2種免許受験者のうち、3人の合格、狭き門だったよ。試験問題は見たこともないものが出て焦った焦った。
現在、やっと介護タクシーを開業したが、本当に大変だった。全て一人でやったから、開業までの道のりはまたの機会にお話ししよう。早速、お客の予約が入った。
安全運転に十分に気をつけて、お客さんと夢と希望を乗せて、今日もパセリGoは走るよ。